2022年はサッカーワールドカップが開催された年で、4年に1度の大会ということもあり、日本勢の活躍を楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。
一方で、近年社会問題となっているのがアスリートへ向けられる誹謗中傷です。その国を背負って戦っている以上、誰もが「良い結果を残してほしい」と願うものですが、期待が大きいあまりアスリートに対して攻撃的なコメントが投稿されることも珍しくありません。
アスリートに対して向けられる誹謗中傷は、どのような影響が考えられるのでしょうか。また、観戦する際の注意点などもあわせて解説します。
アスリートに向けられる誹謗中傷
世界規模のスポーツの祭典や競技大会では、トップアスリート同士のレベルの高い戦いが見られ、多くの観衆やテレビの前の視聴者を魅了します。しかし、トップアスリートとはいえ人間である以上、わずかなミスや判断の誤りを犯すこともあります。そのようなとき、ミスを犯したことに腹を立てて攻撃的な投稿をしたり、会場からヤジが飛び交うことも少なくありません。
また、選手のプレーとは本来関係のない内容がヘイトスピーチとして投稿されることもあり、社会問題化しています。たとえば、肌の色や髪の色、言葉の違いなどが攻撃の対象となることもあります。これらは立派な差別といえるでしょう。
アスリートに向けられる誹謗中傷は日本だけの問題ではなく、世界の国々で激化している傾向にあります。そのため、各競技の主催者や協会では、ネット上の誹謗中傷に対する具体的な対策に乗り出しています。
たとえば、FIFA(国際サッカー連盟)およびFIFPro(国際プロサッカー選手協会)は、誹謗中傷に関する調査データとAIを活用し、SNS上に飛び交う数十万件の投稿を調査。悪質な誹謗中傷のコメントを発信しているアカウントに対しては、ユーザー特定のうえ法的手段をとり、選手や関係者を守るようになりました。
(FIFAの発表)FIFA、SNS上での誹謗中傷表現を規制へ…選手や関係者を守るための計画を発表
- 試合のプレーに関するものだけでなく、アスリート個人の容姿やプライベートでの行動を攻撃する誹謗中傷もある。
- 各スポーツ協会はユーザーを特定し法的手段で対応している。
誹謗中傷がアスリートに与える影響とは
誹謗中傷は他人を傷つける行為であり、決して許されるものではありません。しかし、誹謗中傷のコメントを投稿するユーザーは、その選手をもともと応援していたり、大きな期待を寄せていたりすることが多いのです。応援しているからこそ、不甲斐ないプレーを見せられたり、期待に沿わない結果になったりすることで、ファンは選手に裏切られたと感じ、誹謗中傷におよぶと考えられます。
このようなファンの心理は仕方ないと考えることもできますが、アスリートに対しては決してプラスになるものではありません。ネガティブなコメントや意見が耳に入ってくると、人間は誰しも自信を失い、期待に沿う結果が出せなくなるものです。
また、さらに心理的に追い詰められると、ピッチやコートに立ったときにファンから危害を与えられるのではないかと考え、プレーどころではなくなる可能性もあるでしょう。
このように、ファンは誰もがそのチームを応援し「勝ってほしい」と願うものですが、アスリートやチームそのものを誹謗中傷してしまうと、次の試合はさらに悪い結果を招いてしまうこともあるのです。
スポーツ観戦にあたり注意しておきたいポイント
日々のトレーニングでフィジカル的にもメンタル的にも鍛え上げられたアスリートとはいえ、ファンから向けられる誹謗中傷は試合に大きな影響を与える可能性があることがわかりました。
では、スポーツ観戦をするにあたり、どのようなポイントに注意しておくべきなのでしょうか。好きな選手やチームを勝利に導くために、私たちファンが心得ておくべき2つのポイントを紹介します。
選手個人を攻撃しない
例えばサッカーはチームによるスポーツですが、特定の選手のミスや判断の誤りが失点につながることもあります。サッカーでは1点、2点の差が勝敗に大きく影響することから、わずかなミスも許されないスポーツといえるでしょう。
しかし、だからといってミスを犯した選手を執拗に責め立ててしまうと、心理的なダメージを負い立ち直れなくなることも考えられます。そもそも、ミスや判断の誤りをした場合、選手自身がそのことを十分認識している場合がほとんどであることから、選手の気持ちも汲み取るのもファンができる応援のひとつといえるでしょう。
ネガティブな投稿はしない
もうひとつ重要なポイントが、「どうせ逆転は無理だろう」、「次の試合は勝てないだろう」など、ネガティブな内容は投稿しないことです。このようなコメントを目にしたとき、人間の心理はネガティブな方向へ引っ張られてしまい、良い結果を出しにくくなってしまいます。
連敗が続き絶望的な状況になったとしても、できるだけポジティブな声を上げ応援し続けることで選手にとっての励みとなり、一矢報いる結果が得られる可能性もあるのです。
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ネット上の投稿は、選手本人が目にしたり、耳にしたりする可能性があります。選手を傷つけること、試合にマイナスに影響するようなコメントは絶対にやめましょう。
SNSをうまく使ってスポーツを盛り上げよう
誰もが手軽に情報や意見を発信できるSNSは、使い方次第で武器にも凶器にもなり得る存在です。アスリートへ向けられる誹謗中傷が増えているなか、競技団体や協会も具体的な対策に乗り出しており、コメントを書き込む際には細心の注意を払う必要があるでしょう。
また、応援しているチームに勝利をもたらすためには、選手一人ひとりにポジティブなコメントを書き込むようにし、最後まで見守っていくことも重要です。
今回は、近年社会問題となっているアスリートへの誹謗中傷について、その影響とファンとしての心得をご紹介しました。「SNSを原因としたストレスや不安を解消する「SNS断ち」のススメ」では、SNSの利用で誹謗中傷を受ける側になり、悩みやストレスを感じている時に有効な「SNS断ち」について、メリットや具体的な方法などを詳しくご紹介しています。是非ご覧ください。