企業の売上と利益を向上させるためには、まず自社の製品やサービスを顧客に選んでもらうことが重要です。地道な営業活動を行ったり、顧客一人ひとりに対して真摯に丁寧な対応を心がけることは基本といえますが、それに加えて戦略的にブランディングに取り組むことも重要です。
今回の記事では、なぜ企業にとってブランディングは重要なのか、その理由を解説するとともに、ブランディングに有効な施策や取り組みの一例もあわせて紹介します。また近年社会問題となっているインターネット上の風評被害から、いかにブランド力を守るかもご紹介します。
ブランディングとは
そもそもブランディングとは、「顧客に対して自社のブランドを広め、製品やサービスを選んでもらう際の差別化を図ること」です。
「ブランド」と聞くと服やバッグ、時計といったハイブランドの製品を連想する方も多いと思いますが、本来の意味は自社と他社の製品・サービスを区別するための銘柄のようなものを指します。
たとえば、スーパーやコンビニでビールを購入する際、さまざまな銘柄があるなかでも「◯◯はのど越しが良い」、「◯◯は飲みやすい」といった特徴があり、私たちはメーカーや商品のラベルを見て購入を判断します。商品名やロゴ、ラベルのデザインを見るとそのビールの味の特徴が分かる、というのはまさにブランディングの本質といえるでしょう。
また、さらにブランディングが強化されると、たとえば「コーラといえば◯◯」、「スマートフォンといえば〇〇」といったように、特定の商品ジャンルの代名詞的な存在として認知されることもあるのです。
企業がブランディングに取り組む理由
企業が製品やサービスを提供するにあたり、必ずしもブランディングに取り組まなければならないというわけではありません。しかし、昨今ではブランディングに取り組む企業も増えており、各社でさまざまな取り組みを行っています。
この背景には、顧客ニーズの多様化があります。従来の日本では、少品種大量生産の傾向が強く、モノを作れば売れる時代が長く続いてきました。高度経済成長時代には家電製品や自家用車などのニーズが急速に拡大したことから、顧客ニーズも把握しやすく、企業はブランディングを意識しなくても売上を伸ばすことができたのです。
しかし、現在では人々のライフスタイルや価値観が多様化し、求める製品やサービスも画一的ではありません。高機能な製品であるからといって売上が伸びるとは限らず、むしろシンプルで限定的な機能に特化した製品のほうが売れる場合も珍しくありません。
ニーズが多様化するということは製品の種類も増え続け、顧客にとっては自分に最適な製品がどれなのか分かりにくいという悩みも生まれます。そこで、自社の製品・サービスの強みや特徴を明確化し顧客に選んでもらうために、ブランディングに取り組む企業が増えています。
ブランディングに有効な施策・取り組みの例
では、企業がブランディングに取り組む場合にどのような施策が有効なのでしょうか。製品やサービスの特性、想定する顧客のターゲット層によっても施策内容は異なりますが、今回は代表的な3つの例をもとに紹介します。
CM・広告の展開
テレビやラジオ、新聞広告、屋外広告など、さまざまなメディアを活用したCM・広告はブランディングにおける代表的な取り組みといえるでしょう。これらは古くから広告媒体として活用されてきた歴史があり、もっとも多くの人に自社の製品やサービスをPRできる手段といえます。
毎日のようにCMや広告を目にしていると、自然と企業名や製品名が記憶されます。その結果、店頭で他社の製品と自社の製品が並んでいた場合に、CMで馴染みのある自社製品を選んでもらえるのです。
自社メディア・SNSの運用
テレビや新聞を見ない世代も増えており、以前ほど広告効果が見込めなくなってきていることも事実です。特に10代、20代の若い世代は、旧来型のメディアよりもインターネットに触れる機会のほうが多く、SNSや動画サイトを閲覧する時間のほうが多いというケースも珍しくありません。
そのため、若い世代をターゲットとした製品やサービスを展開する場合には、テレビや新聞などの広告よりもSNSで広告を発信したほうがブランディング効果が見込めるでしょう。また、顧客に対して有益な情報を発信し、自社の製品やサービスを選んでもらうことを目的として自社メディアを立ち上げる企業も少なくありません。
顧客との直接的なコミュニケーション
広告や情報発信はブランディングの代表的な施策ですが、顧客一人ひとりに対して地道にコミュニケーションをとることも重要な取り組みといえます。たとえば、莫大な広告費をかけて自社の宣伝をしていたとしても、顧客に対する社員の対応が悪いと顧客満足度は低下し、SNSや口コミで悪評が広まってしまうこともあるでしょう。
特にSNSで悪い情報が拡散されてしまうと、自社の売上低下を招くこともあります。反対に考えれば、派手なCMや広告をかけなくても顧客一人ひとりに丁寧な対応を心がけることで、良い口コミが広がりブランディングにつながる可能性もあるのです。
風評被害対策もブランディングに重要
有効なブランディングを施策できたとしても、些細な風評被害で、これまで培ったブランド力が水泡に帰すこともあります。メディアや顧客対応で積極的にブランディングを行うと同時に、ブランドを守ることも考えなければいけません。
ネットの風評がブランド力を低下させる
特にインターネットが発達した現在の社会では、いわゆるSNSを中心とした拡散であっという間に風評被害となり、ブランドに傷がついてしまいます。
また口コミやSNSによって拡散されるネガティブな情報のなかには、事実ではない内容が含まれていることもあります。たとえば「営業担当者や店舗スタッフの対応が悪かった」という内容が事実であれば、適切な指導をし改善に努めなければなりませんが、「暴力を振るわれた」、「詐欺に遭った」など事実とは異なる内容が書き込まれていた場合、それをほかのユーザーが信用し、ブランド力に影響を及ぼす可能性もあります。
ブランド力を守るための風評被害対策
明らかに事実とは異なる内容が書き込まれた場合は、風評被害によるブランド力の低下を防ぐためにも毅然とした対処が求められます。「インターネット上の書き込みに対して有効な対策は難しいのでは」と感じる方も多いと思いますが、風評被害対策を専門に扱う事業者へ依頼することで解決につながる可能性もあります。
企業のブランド力を向上させ、自社のファンを増やすためにも、広告やネットメディアの運用と同時に風評被害対策にも取り組んでみてはいかがでしょうか。
今回は、なぜ企業にとってブランディングは重要なのか、その理由を解説するとともに、ブランディングに有効な施策やブランド力を守る方法もあわせて紹介しました。「新入社員のインターネットトラブル・炎上リスクにはどのようなものがある?対策方法も紹介」では、新入社員ならではのネットトラブルやそれが引き起こす風評被害とその対策についてご紹介しています。是非ご覧ください。