4月は新入社員の入社や人事異動の季節でもあります。新天地での生活に希望を抱き、新たな生活を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、その一方で、環境が変わることで職場に馴染めなかったり、人間関係のトラブルに発展したりするケースもあります。
特に近年問題視されているのが、パワハラや職場いじめです。個人間の問題と片付けてしまうと、インターネット上を中心に企業の悪評が広まり、深刻な風評被害を及ぼすリスクもあるのです。このような事態を防ぐために、企業はどのような対策を講じるべきなのか詳しく解説していきましょう。
パワハラの定義と種類
パワハラによって職場でさまざまな被害を受け、休職や退職に追い込まれるケースは後を絶ちません。しかし、「パワハラ」という言葉が独り歩きしてしまい、本来であれば正当な指導であるにもかかわらず、パワハラの被害に遭ったと告発に至るケースもあるようです。
パワハラを恐れるあまり部下へ適正な指導ができなくなってしまうと、企業の人材育成は進まず組織力も低下する懸念が生じるでしょう。そこで、まずはパワハラの定義を正確に理解したうえで、指導との境界線をはっきりと知る必要があります。
厚生労働省では、パワハラを以下のように定義しています。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
- 以上3つの要素を全て満たすもの
引用:あかるい職場応援団
また、より具体的な例として、以下のような言動がパワハラに該当するとも紹介しています。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
職場いじめが大きなトラブルに発展することも
パワハラは「優越的な関係を背景とした言動」という前提があり、たとえば上司から部下へのハラスメント行為が代表的です。しかし、業務とは無関係な部署の人間や、部下から嫌がらせを受けた場合などはパワハラに該当しない可能性があるでしょう。このような行為は「職場いじめ」とよばれることもあり、はじめのうちは軽い嫌がらせのつもりで行われるケースも少なくありません。
しかし、加害者にとっては些細な嫌がらせと考えていても、被害者にとってはストレスの蓄積によって激しく思い悩むこともあります。毎日のように顔を合わせる職場でそのような行為が行われていると、蓄積したストレスが爆発して大きなトラブルに発展したり、休職や退職に追い込まれたりすることも十分考えられるのです。
パワハラや職場いじめが企業の風評被害につながるリスク
パワハラや職場いじめの被害者のなかには、上司や人事部、経営層などに対して自分自身の置かれた状況を訴え、改善を求めるケースも少なくありません。しかし、必ずしも被害者の立場に立って解決してくれる職場ばかりとは限らず、問題をうやむやにしたまま被害者が退職に追い込まれることも。
このような場合、被害者にしてみれば、パワハラや職場いじめの加害者に対してはもちろんのこと、企業そのものに対しても不信感を抱いてしまうでしょう。その結果、SNSや転職情報サイト、掲示板、ブログなどに企業の悪評が書き込まれることも十分考えられるのです。
インターネットが普及する以前は個人が情報を発信する方法は限られていたため、このような被害に遭っても被害者は泣き寝入りするケースが多かったですが、現在は瞬時に情報が拡散されてしまいます。パワハラや職場いじめを個人間の問題と片付け、適切に対処せずに放置してしまうと、企業全体の悪評として拡散され人材採用に影響が出ることも考えられるのです。
パワハラ・職場いじめを防止するためのポイント
パワハラや職場いじめを発端とした風評被害を未然に防止するためには、その根本原因を解決する必要があります。パワハラや職場いじめをなくすためには、企業としてどのような対策を講じるべきなのでしょうか。
パワハラの定義を知る
部下と上司との間でパワハラに関する認識がずれていると、上司は指導のつもりで行った行為が、部下にとってはパワハラと映るケースもあります。結果として上司の行為がパワハラに当たらなかったとしても、社員はそれを逆恨みしSNSなどに書き込んでしまうことも考えられるでしょう。
このようなトラブルを防ぐためには、全社員に向けてパワハラに関する研修やe-ラーニングなどを実施し、上司と部下との間で共通の認識をもっておくことが重要です。
パワハラや職場いじめによって生じるリスクを共有しておく
もし、パワハラや職場いじめの加害者となってしまった場合、どのような処分が下されるのかを社員に対して具体的に紹介することで抑止力となることが期待できます。また、パワハラによって企業イメージが低下し社会的な信用を失ってしまうと、企業としての業績悪化を招きかねないこと、それにともなって社員の待遇も悪化するリスクもあるでしょう。
社員からの相談を受けられる体制の構築
パワハラや職場いじめの被害に遭った場合には、外部にその情報を漏らすのではなく、上司や人事部などに相談することを社員に周知したうえで、企業としても適切に対処できる体制を構築しておくことが求められます。
企業の風評被害に発展したら
万が一、退職した社員がパワハラや職場いじめの事実を外部に漏洩したことが明らかになった場合、まずは当事者に対して誠意のある対応をとることが最優先といえます。当事者間で誤解が生じていたり、パワハラの認識に相違がある場合には納得するまで話し合ったうえで解決することが重要です。
そのうえで、インターネット上の情報が風評被害につながるおそれがある場合には、風評被害対策を専門に扱う事業者へ相談してみるのもおすすめです。リスタートでは、「5ちゃんねる」や「爆サイ」などの掲示板のほか、各種ブログサイトに書き込まれた風評に対して有効な対策をご提案できます。
今回は社内のパワハラや職場いじめに対する防止と対策、外部に漏洩した場合に、インターネット上の拡散から深刻な風評被害が発生する可能性についてご紹介しました。「新入社員のインターネットトラブル・炎上リスクにはどのようなものがある?対策方法も紹介」では新入社員にありがちなインターネットトラブルとその防止法と対策を紹介しています。是非ご覧ください。