インターネット上での誹謗中傷が社会問題化しており、悲惨な結果につながる事例が跡を絶ちません。従来であれば、新聞やテレビといったメディアの誤報によって損害が出た場合には訂正と謝罪を要求することもできましたが、現在は一度デマが拡散してしまうと不特定多数のネットユーザーからの攻撃に晒され、精神的に大きなダメージを受けてしまいます。
もちろん、このような問題に対して相談できる窓口は複数存在し、ときには法的手段で争うことも可能ですが、その際に重要になるのが証拠です。もし、自分自身が誹謗中傷の被害者となってしまった場合、まずは該当する内容をスクリーンショットに撮って保存しておくことが重要です。
誹謗中傷の証拠としてスクリーンショットが重要である理由
誹謗中傷を受けた際の証拠はさまざま方法で確保することができますが、そのなかでもスクリーンショットとして残しておくことの重要性は何なのでしょうか。3つのポイントから解説しましょう。
客観的な証拠として有効
誹謗中傷の書き込みがあった場合、わざわざ被害者が証拠をつかんでおかなくても、運営事業者へ問い合わせれば済むのでは?と考える人も少なくありません。しかし、SNSや掲示板などのプラットフォームには日々膨大な投稿があり、管理者はすべてに目を通すことは不可能です。また、発信者情報を開示しようとすると法的な手続きに手間と時間を要します。
そのため、誹謗中傷にあたると思われる内容を認識した時点で、即座にスクリーンショットに残しておくことで客観的な証拠をつかむことができます。
投稿が削除される可能性
投稿者のなかには、一時の感情で攻撃的な内容を書き込んでしまう人も少なくありません。そして、後になって後悔し書き込んだ内容を削除してしまうケースもあります。
しかし、すでに他のユーザーによって閲覧されていたり、その内容が拡散されてしまった後だと収集がつかなくなってしまいます。そのため、誹謗中傷にあたる書き込みを確認した時点でスクリーンショットを撮っておくことは極めて重要といえるです。
なかには、「これは誹謗中傷にあたるのか?」や「自分のことを指していないかもしれない」など、判断に迷うケースもあるでしょう。そのような場合であっても、ひとまずスクリーンショットに残しておき、あとになってから専門家と相談することもできます。
アカウント名や投稿日時を確認できる
誹謗中傷の被害を訴える場合、誰がいつ、どのような内容をどこに書き込んだのかを証明する必要があります。もし、書き込んだ内容そのものは残っていたとしても、誰がいつ発信した内容なのかが分からないと当事者を特定することが難しくなる場合も考えられます。
スクリーンショットを撮っておけば、掲示板やSNSなどにアカウント名や発信者も開示されているため、データを整理したり時系列に沿って事実を確認したりしやすくなります。
スクリーンショットを撮った後の相談先
では、実際にスクリーンショットを撮った後、誹謗中傷を解決するためにどのような窓口へ相談すべきなのでしょうか。誹謗中傷の内容や被害状況に応じて以下の窓口へ相談してみましょう。
一般社団法人セーファーインターネット協会
一般社団法人セーファーインターネット協会は、インターネット上の誹謗中傷の被害に遭った人を救済するとともに、インターネットの悪用を防止するためのスキームを構築することを目的に設立された団体です。
国内の大手インターネットサービス事業者有志によって運営されており、誹謗中傷に悩む人をケアする「誹謗中傷ホットライン」も開設・運営しています。具体的には、誹謗中傷に該当する投稿・書き込みに対して運営者へ削除依頼を行います。通常、弁護士や民間の事業者へ依頼すると費用がかかりますが、一般社団法人セーファーインターネット協会では無料で依頼できるのが最大のメリットといえるでしょう。
最寄りの警察署
加害者に対して自分の身元が特定され、職場や自宅などへの付きまといが発生し身の危険を感じるようであれば、最寄りの警察署へ相談することも重要です。特に自分自身やその家族へ危害を与えることをほのめかすような脅迫があった場合、それをスクリーンショットへ保存し証拠として提示することで、解決に向けた何らかのアクションを起こしてくれることも多いです。
ただし、実際に被害に遭っていないケースや物的証拠、明確な根拠がない場合には、なかなか動いてくれないことも考えられるため、できるだけ多くの証拠を揃えてから相談するのがおすすめです。
弁護士
誹謗中傷によって精神的なダメージを受けたり、金銭的な被害を受けたりすることもあるでしょう。そのような場合、誹謗中傷に該当する書き込みや投稿を行った人物に対して損害賠償請求を起こすケースも考えられます。法律に基づき、正式な手続きを経る必要があるため、当事者のみで解決することは難しいものです。そこで、本人に代わって訴訟や和解の交渉を行うためにも、弁護士へ依頼する必要があります。
相談先 | 特徴 |
---|---|
一般社団法人セーファーインターネット協会 | 運営者へ削除依頼が可能。 |
警察署 | 実害が生じた物的証拠や明確な根拠がある場合に対処可能。 |
弁護士 | 損害賠償請求等、法的な手続きが可能。 |
デマが拡散して風評被害につながった場合には専門業者へ相談
誹謗中傷がエスカレートした場合、インターネット上に自分自身の個人情報や事実とは異なる内容が拡散されてしまうこともあります。書き込みや投稿を行った当事者に対して削除要請を行うのは当然のことですが、誤った情報をもとに風評被害が広まってしまう懸念もあるでしょう。たとえば、自分自身の名前を検索したときにネガティブなワードが検索候補に表示されたりすると、悪意のないユーザーに対しても誤った情報が認識されてしまいます。
このような被害を防ぐためにも、風評被害対策を専門とする業者へ相談してみることもおすすめです。
今回は、誹謗中傷対策にスクリーンショットが有効な理由とその相談先をご紹介しました。
実際に被害を受けてしまった場合、相談先として真っ先に思い浮かべるのは警察署ですが、実はインターネット上の被害で警察署が対処してくれるケースはまれです。
「ネットへの誹謗中傷で警察は動かないって本当?動かない理由や対処法を紹介」では、なぜ警察署での対処が難しいのか、対処されない場合どうすれば良いかをご紹介しています。是非合わせてご覧ください。