インターネット社会の発展とともに大きな問題となっているフェイクニュース。さまざま情報を瞬時に取得でき、ユーザー自らも発信できるのはインターネットの大きな魅力ですが、それが原因となってフェイクニュースが拡散されることも珍しくありません。
フェイクニュースの拡散が自然に止むのを待つのもひとつの方法ですが、実害が及ぶ前に有効な対策を講じることも重要です。今回の記事では、なぜフェイクニュースは拡散されやすいのか、フェイクニュースが企業や個人にどのような影響を与えるのか、もしフェイクニュースの当事者になってしまった場合の正しい対処方法などを中心に詳しく解説します。
フェイクニュースとは
フェイクニュースの「フェイク」とは、日本語で「偽物」や「模造品」といった意味を指す言葉です。すなわち、フェイクニュースとは、「真実とは異なる虚偽の情報やニュース」ということになります。
インターネットの発達によって、私たちは日々さまざまな情報に触れられるようになりました。インターネットが登場する以前は、情報を得る手段として新聞やテレビ、雑誌といった媒体がメインでしたが、現在ではスマートフォンで瞬時にさまざまな情報にアクセスできるようになっています。
これは一見するとメリットばかりのように考えられますが、じつはそうとも限りません。情報を得られるようになっただけでなく、ユーザー自らがさまざまな情報を発信できるようになったのもインターネットの大きな特徴であり、SNSをはじめとしたインターネット上には日々膨大な情報が溢れています。玉石混交の情報のなかから、自分自身にとって有益かつ虚偽ではない情報を見極めるのは決して簡単なことではないのです。
本当にそれが正しい情報なのかを見極めたうえで発信しないと、自分自身がフェイクニュースを意図せず拡散させてしまうこともあります。
フェイクニュースはなぜ拡散しやすいのか?
近年、大きな社会問題にも発展しているフェイクニュースですが、その背景には爆発的な拡散力があります。しかし、客観的に考えると「嘘の情報なのに、なぜそこまで拡散してしまうのか?」と疑問に感じることはないでしょうか。フェイクニュースが拡散しやすいのは、いくつかの要因が考えられます。
SNSの仕組み
TwitterやFacebookなどのSNSでは、個人の指向に合わせて同じような傾向のコンテンツが上位に表示されやすいという特徴があります。
たとえば、ネット通販サイトでお歳暮の商品を検索した後、SNSを開いたらお歳暮商品の広告が表示されやすくなったという経験はないでしょうか。これはSNSに限らず、インターネット上に表示される広告コンテンツに共通して見られるものです。また、SNSで「いいね」やリツイートをした内容に近い投稿やコンテンツが、おすすめに表示されやすくなることもあります。
通常、テレビや新聞といったメディアには中立性が求められるため、一方的な意見ばかりではなく反対意見も取り上げられることが一般的です。しかし、SNSの場合、自分自身の指向と近いコンテンツが優先的に表示されるようになるため、偏った意見になりやすい仕組みがあるのです。
仮に、フェイクニュースを信じる人の意見に対して「いいね」やリツイートを繰り返していると、タイムラインには反対意見がほとんど表示されなくなり、虚偽の情報があたかも真実であり、また大勢派であるかのような印象を抱いていしまうのです。
- アルゴリズムで指向が近いコンテンツが優先的に表示されることで、自分の考えが大勢派だと思い込み、さらに拡散してしまう。
人間の思考の特性
物事の考え方や価値観はすべての人が同じではなく、それぞれ異なっているものです。しかし自分と同じ意見をもつ人に対しては親近感を覚え、反対意見をもつ人に対しては敵対心を抱くことも少なくありません。これはある意味当然のことでもあり、多くの人に共通する思考の特性といえるでしょう。
しかし、SNSの仕組みでも紹介したような、自分と同じ意見ばかりが集約されている環境下では、さらにその傾向が増幅され極端な意見に偏ってしまうことが予想されます。その結果、拡散されたフェイクニュースが独り歩きしてしまい、単なる噂話や個人の意見も事実のように拡散されることもあるのです。
- 自分と同じ意見に親近感をもつ特性があり、それが集約されるとより偏った意見となり、真偽の判断ができない意見が一人歩きしてしまう。
フェイクニュースが企業や個人に与える影響
「フェイクニュースは事実と異なる以上、放っておけば良いのでは?」と考える方もいると思います。しかし、事実とは異なる内容がインターネット上で拡散されることにより、特定の企業や個人がターゲットとなりさまざまな実害が及ぶケースも少なくありません。
たとえば、企業の場合、フェイクニュースが発端となり不買運動に発展したり、株価に影響を及ぼしたりするケースもあるでしょう。不特定多数のインターネットユーザーにフェイクニュースが広まってしまうと、企業が事実とは異なる旨を説明したとしても、すべての人が聞き入れてくれるとは限りません。また、騒動が大きく発展してから収束するまでに時間を要し、その間に業績が急速に悪化する懸念もあります。
また、個人に対しては、フェイクニュースを事実として誤認したユーザーが誹謗中傷をしてきたり、名誉毀損にあたる内容を第三者に拡散してしまう懸念もあるでしょう。個人が釈明してもすべてのユーザーに情報が届くとも限らず、フェイクニュースを信じたまま誹謗中傷をし続けるユーザーも出てくると考えられます。
フェイクニュースの影響を防ぐためには
誰もが手軽に情報を発信できるようになった今、個人のつぶやきや投稿が誤解され、フェイクニュースとして拡散されてしまうことも否定できません。著名人やインフルエンサーでなくともフェイクニュースの影響を受けるリスクは存在します。
もし、自分自身がフェイクニュースの当事者となってしまった場合、どのような対処が求められるのでしょうか。
拡散を防ぐ
はじめに、フェイクニュースの拡散を防ぐことが第一優先といえるでしょう。SNS上で数万、数十万という「いいね」やリツイートに達してしまうと、その何十倍、何百倍ものユーザーにその内容が拡散されている可能性があります。このようなレベルにまで拡散されてしまうと、個人が釈明しても拡散が収まるとは限らず、フェイクニュースを訂正するまでに時間を要してしまいます。
投稿内容を誤認されたことで、ネガティブなリプライやDMが数通、数十通届いている段階で、誤解を訂正したり正しい情報を発信し直したりすることが拡散を防ぐうえでは重要なポイントとなります。
風評被害対策の専門家へ相談
フェイクニュースが拡散され誹謗中傷や風評被害といった実害が生じている場合には、専門家への相談が有効です。
たとえば、風評被害対策を専門に扱っている事業者では、ネット上の書き込みに対する削除要請や検索エンジンの関連ワード対策などに対応。さらに、当事者に対して法的対策が求められる際には、IT分野に強い弁護士を紹介することも可能です。
フェイクニュースによる被害状況によっても有効な対策は異なるため、まずは電話やメールによる問い合わせから始めてみましょう。
フェイクニュースの被害者にならないために早めの対策を
フェイクニュースが拡散される背景には、SNSの仕組みと人間の思考の特性が複雑に絡み合っている場合が多いです。フェイクニュースが広く拡散されると、個人で対処できる範囲を超えてしまい、さまざまな実害がおよぶケースも考えられます。
そのような事態に発展しないよう、ネガティブなリプライや書き込み、DMなどが届いた場合には、早めの対策を講じることが重要です。もし、フェイクニュースの対処方法が分からない、または不安に感じている場合には、風評被害を専門に扱っている事業者へ相談してみましょう。
今回は、フェイクニュースが拡散される背景や、拡散され実害が出た場合の対処方法をご紹介しました。「SNSによる誹謗中傷を受けた場合の対処方法とは」では、実際どのような誹謗中傷があり、どのように対処すればよいかご紹介しています。是非合わせてご覧ください。