SNSの普及によって、アルバイトやパートとして働く従業員による”バイトテロ”が社会問題化するようになりました。従来は不祥事が起こったとしても、社内で対象者を処分して終わるケースが大半でしたが、誰もが情報を発信できるようになった今、企業や店舗の内部事情まで暴露されてしまい、それが一気に拡散・炎上するケースも少なくありません。
このような事態に発展すると、企業の信頼や評判は大きく低下し、業績に深刻な影響を与えてしまうことも。これを未然に防ぐためには、企業はどのような対策を講じるべきなのでしょうか。
バイトテロとは
そもそもバイトテロとは、主にアルバイトやパート従業員によるさまざまな行為の様子がインターネット上で拡散され、世間からの批判のターゲットとなる現象のことを指します。「さまざまな行為」の一例としては、飲食店で使用する食材や食器、その他備品などにイタズラをする、または粗末に扱うなど、不適切な行為全般が該当します。
一般的には、不適切行為を撮影した画像や動画があったとしても、それを本人が不特定多数のユーザーに向けて発信するケースは稀です。不適切行為を友人や知人同士といった限られた範囲で共有するケースがほとんどでしょう。しかし共有した友人や知人の一部が軽い気持ちで画像や動画をSNS上へ転載したり、第三者へ転送してしまうことで、一気に拡散・炎上するケースが多いのです。
また、フォロワーの数にもよりますが、SNSで普段の何気ない投稿をしている範囲であれば「いいね」や「リツイート」などの反応が返ってくる数は限られています。そのため、「自分のSNSはフォロワーしか見てないだろう」という錯覚に陥りがちですが、SNSは世界に向けて情報を発信していることに変わりはありません。この感覚を忘れたまま不適切行為をSNSにアップしてしまうと、予想外の反応に驚き、戸惑ってしまうユーザーも少なくありません。
バイトテロが企業に及ぼす影響
「バイトテロといっても、所詮はインターネットの中だけの話で、それほど実害は及ばないのではないか」と考える企業や店舗もあるかもしれません。しかし、数日間で数万、数十万の「いいね」や「リツイート」にのぼってしまうと、その何倍、何十倍ものユーザーが目にすることになります。反響が多い投稿はSNSだけでなくテレビや新聞、雑誌といったメディアにも取り上げられるようになり、さらに拡散されてしまいます。
悪質な不適切行為が世間に知れ渡ってしまうと、それまで積み上げてきた企業の信頼は一気に崩れ落ち、売上が低下することもあるでしょう。また、顧客離れが起こるばかりではなく、それまで取引のあった企業からも契約の更新が見送られる可能性も出てきます。
その結果、バイトテロが原因で企業の信頼が損なわれ、事業そのものの継続的な運営が難しくなる可能性もあるのです。
企業が取り組むべきバイトテロ対策
バイトテロを未然に防ぐために、企業はどのような対策を講じるべきなのでしょうか。
何よりも重要なのは、従業員に対する教育の徹底です。アルバイトやパートとはいえ、正社員と同様に同じ企業で働く従業員であることに変わりはありません。もちろん、正社員に比べれば業務内容や責任度合いに違いがあるのは当然です。しかし、企業の看板を背負っているという意味では同じであり、雇用形態を問わず不正や不適切行為は決して許されないのは当然のこと。まずは、アルバイトやパート従業員に対し、自社で働くことの責任を十分に認識してもらうようにしましょう。
しかし、それでも高い意識をもてない従業員もいるかもしれません。そのような場合には、不適切行為が明るみになった場合、どのような影響があるのかを認識してもらうことが重要です。たとえば、「懲戒解雇の対象となる」、「企業全体の信用問題に発展し、すべての従業員を解雇しなければならなくなる可能性がある」、「不正や不適切行為の内容によっては、損害賠償請求の対象となることもある」など、できるだけ具体的に明示することが重要です。
そのうえで、あらためて自社のコンプライアンス体制を見直し、どのような行為が不正・不適切行為にあたるのかを周知しておきましょう。
- 一人ひとりの責任を認識してもらう
- バイトテロが発生した場合の損害を知ってもらう
- 不適切行為とは何かを周知し、理解してもらう
バイトテロが発生した際に企業がとるべき対処法
では、実際に自社でバイトテロが発生した場合、企業にはどのような対処が求められるのでしょうか。
事実確認
投稿内容によっては、それが本当に自社で発生したものなのか判断が難しいケースもあります。そのため、まずは内容を精査するとともに、自社で発生した不祥事・不適切行為であるかを明確にすることが求められます。
投稿者が判明している場合には本人から事情をヒアリングし、もし投稿者が不明な場合にはアカウントの持ち主へ直接DM(ダイレクトメッセージ)などを送り、事実関係を確認する方法もあります。
投稿内容の削除
事実確認の結果、自社において発生した行為であることが判明した場合には、投稿者に対して内容の削除を求めます。投稿内容が残ったままになっていると、さらなる拡散につながり、企業が受けるダメージも増大します。もし、投稿者が判明している場合には、当該項目をできるだけ早く削除してもらうように促しましょう。
企業からの謝罪・再発防止策の公表
バイトテロが発生した際、企業の信頼をいち早く取り戻せるか否かは事後対応にかかっているといっても過言ではありません。不祥事や不適切行為が発生したという事実は覆すことはできず、アルバイトやパート従業員個人が起こした行為とはいえ、その監督責任は企業にあることに変わりはありません。もし、ここでアルバイトに全面的に責任があることを強調してしまうと、企業として責任逃れをしているような心象を与えてしまい、さらなる信頼低下につながるリスクもあります。
そのため、投稿内容が事実であれば、まずは企業として正式に謝罪文を発表したり、正式な会見の場を設けたりするなどして誠心誠意謝罪することが重要です。「なぜ不適切行為が発生したのか」という理由と、「今後同様の事象を起こさないための再発防止策」の2点について、できるだけ早急に明確に提示することが求められます。
- 事実確認
自社で発生した不祥事・不適切行為であるかを明確にする - 投稿内容の削除
投稿者に対して内容の削除を求める - 企業からの謝罪・再発防止策の公表
なぜ不適切行為が発生したのか、再発防止策の二点を提示する
誹謗中傷や風評被害への対策も重要
不適切行為が判明した直後は、さまざまなメディア、SNS上などで多くの批判に晒される可能性があります。しかし、一度傷ついた信頼を回復することは決して簡単ではなく、その後も長期間にわたって誹謗中傷や風評被害に苦しむケースがあるでしょう。
事実に対する批判に対しては真摯に受け止め、改善に向けて努力することが前提ではあるものの、なかには事実とは異なる内容が独り歩きしてしまい、明らかに度を超えた誹謗中傷に発展することも少なくありません。
そのような場合には、ネット上の誹謗中傷や風評被害対策を専門に扱う業者へ相談してみることがおすすめです。ネガティブ口コミや個人ブログに記載された誤った内容の削除・非表示化対策も可能で、スピーディーな解決に導きます。
今回は、バイトテロの防ぎ方と正しい対処のコツを紹介しました。その他、企業や店舗の運営上無視できないのがGoogleマップの口コミです。今やGoogleマップの口コミの影響力は非常に大きくなっています。「Googleマップの口コミ削除はどうやって依頼する?削除方法を詳しく解説」では、口コミ内容に合わせた対処法などをご紹介しています。是非合わせてご覧ください。