インターネットはさまざまな情報を収集できるだけではなく、自ら手軽に発信もできるツールでもあります。しかし、その手軽さゆえに、誤った情報が発信されることも少なくありません。情報を発信している個人が誤った認識であることに気付いていないと、さらに情報が拡散され特定の個人や企業、団体に対してさまざまな風評被害をもたらすことも考えられます。
そこで、風評被害の元となる情報はどこに書き込まれるのかを知っておくことで、適切な対処ができ被害の拡大を抑えることにもつながるでしょう。今回は、風評被害が書き込まれることの多い場所の事例を紹介するとともに、正しい対処法についても詳しく解説します。
社会問題化するネット上の風評被害
そもそも風評被害とは、根拠のない噂や意図的なデマ、誤った認識に基づく情報などが広がったことで生じる経済的損害のことを指します。たとえば、風評被害のきっかけとなる情報を発信した人が「冗談のつもりだった」「信じる人はいないだろうと思って発信した」という意図があったとしても、風評被害をもたらしたことに変わりはありません。また、友人や知人に聞いた噂話について、根拠が不確かにもかかわらず断定的に発信することも風評被害を及ぼす可能性があります。
発信する側の中には「信じるほうが悪い」と考える人もいるでしょう。しかし、根拠のない情報を発信し風評被害をもたらすと、場合によっては「信用毀損及び業務妨害罪」に問われることも考えられます。また、特定の企業に関するデマを扇動することで株式市場の相場を不正に操作したことが認められると、金融商品取引法で定める「風説の流布」の違反に問われることもあります。
このように、情報を発信する当事者にとっては軽い気持ちや冗談のつもりだったとしても、結果として風評被害を引き起こしてしまうとさまざまな法律によって処罰される可能性もあるのです。
風評被害は特定の企業や団体をターゲットとしたもの以外にも、個人を対象とした誹謗中傷まで拡大し社会問題化しています。ネット上の一部ユーザーの声に過ぎないからと軽視していると、またたく間に情報が拡散され思わぬトラブルや被害を引き起こすおそれもあるのです。
風評被害はどのような場所に書き込まれるのか?
風評被害を最小限に抑えるためには、どのような場所に情報が書き込まれることが多いのかを把握しておく必要があります。ユーザーによってもインターネットで閲覧しているサイトは多様で、必ずしも特定のサイトだけを注視していれば良いというわけではありません。そこで、風評被害につながる誤った情報が書き込まれることの多い場所をいくつか紹介しましょう。
5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)
日本最大級の掲示板サイト「5ちゃんねる」には有益な情報も多数共有されている一方で、根拠のないデマや個人または企業に対する誹謗中傷などが多数書き込まれています。トップページから「掲示板」を選択して進むと、さまざまなジャンルごとにスレッドが立っているのが確認できます。特定キーワードからの検索もできるため、自社または自身に関する誤った情報が掲載されていないかを確認してみましょう。
転職情報の口コミサイト
就職や転職をする際、インターネットから情報収集を行うのは常識ともいえる時代です。転職に関する求人情報ではなく、その企業で勤務経験のある元従業員などが情報提供する口コミサイトも存在し、多くの求職者が閲覧しています。しかし、その中にはポジティブな情報ばかりではなくネガティブな情報も多く、悪質なデマも存在します。
そもそも口コミサイトの運営側は、ユーザーが実際にその企業へ在籍していたかどうかを確認することは難しいもの。たとえば、長時間労働やサービス残業は会社として一切認めていないにもかかわらず、それとは正反対の内容が書き込まれていることもあるのです。
ブログサイト
インターネット黎明期から個人の情報発信の手段として活用されてきたのがブログです。個人の趣味として日記感覚で利用する人もいれば、広告収入を得るために高い頻度で更新しているヘビーユーザーも存在します。当然のことながら、中身の濃い充実した内容のブログには多くの読者が集まりますが、そうでない場合にはいくら更新してもPV(ページビュー)が獲得できません。そこで、多くの興味を惹きつける内容にするために誇張した表現を使用したり、事実とは全く異なる内容を書く運営者も存在します。
SNS
PCがメインのインターネット黎明期はブログが全盛でしたが、その後スマートフォンの登場によってさらに情報を発信するハードルは低くなりました。特にSNSは数百文字程度の短文をその場で投稿できるほか、撮影した写真や動画も簡単にアップロードできます。しかし、あまりにも手軽であるがゆえに、誤った情報が拡散されるスピードも極めて速いのも事実です。
動画サイト
YouTubeをはじめとした動画サイトは、誰もが簡単に撮影した動画をアップロードでき、「ユーチューバー」のようなクリエイターも多数活躍しています。インターネット環境が整備されたことも大きな一因として挙げられますが、それ以上にスマートフォンの普及によって動画の撮影および編集が手軽にできるようになったことも見逃せないポイントといえるでしょう。
しかし、たとえば仲間内での何気ない会話を撮影した動画をアップロードしたことが発端となり、風評被害や炎上騒ぎに発展することも珍しくありません。
Googleマップの口コミ
特定の企業や団体への誹謗中傷、風評被害で多いのがGoogleマップへの口コミ掲載です。たとえば旅行先や出張先で食事ができるお店を探す場合、Googleマップを開いてレストランや居酒屋などを検索する方も多いでしょう。そのとき、掲載されている口コミがネガティブな情報ばかりだと、訪問することを躊躇してしまうケースも考えられます。
風評被害が拡大するとどうなる?
特定のサイトやSNSなどにデマや噂レベルの情報が掲載されていたとしても、影響は限定的であり、あえて対策しなくても時間が経つにつれて収束していくと考える方もいるでしょう。
しかし、SNSなどで多くのユーザーの注目を集めると、あっという間に情報が拡散されてしまうこともあります。たとえば、SNSの代表格であるTwitterの場合、数日間で1万、2万単位の「いいね」やリツイートがされることも珍しくありません。あまりにも反響が大きいと、テレビや新聞、雑誌などのメディアで取り上げられることもあり、さらに拡散力は強くなっていきます。
拡散される情報がポジティブなものであれば良いのですが、ユーザーの誤解が基になっていたり、悪意のある表現がされていたりする場合、風評被害を完全に払拭することは難しくなるでしょう。たとえば、ある企業の労働環境が問題視され「ブラック企業」のレッテルが貼られてしまうと、やがてYahoo!やGoogleといった検索サイトで自社の名前を入力したとき、サジェスト(関連ワード)として「ブラック」などのネガティブな文言が出てくるケースも考えられるのです。
風評被害を最小限に留めるために
インターネットが普及した現在、ネガティブな情報を一切排除することは現実的に考えて難しいものです。しかし、不特定多数のインターネットユーザーに対して風評被害として拡散される前に、影響を最小限に留めておくことは可能です。
たとえば、サイト運営者に対して誤情報や誹謗中傷にあたる情報を削除してもらうよう依頼することはもちろんですが、場合によっては検索エンジンでのサジェスト対策も可能です。しかし、これらの対策は専門的な知識や経験が必要とされることから、一般の企業や団体、個人では難しい場合もあります。
ネット上の風評被害への対策を専門に行っている事業者であれば、状況に応じて適切な対策を提案し実行できます。電話やメールによる無料相談を行っているところもあるため、風評被害や誹謗中傷にお悩みの際にはぜひ相談してみてはいかがでしょうか。
誹謗中傷に関しては「誹謗中傷にあたるのはどこから?具体例と合わせて分かりやすく解説」をご参照ください。